キュレーター・コミッション
ダン・ホールズワース
ダン・ホールズワース氏の作品は、風景、写真、科学、技術の関係を探求します。ロールス・ロイスは、凍てついた風景のリアルとバーチャルの両方の表現を探求して深掘りするような作品の製作をホールズワース氏に依頼しました。デジタル・マッピング・データを駆使することで、写真のプロセスは広がり、私たちの科学技術の理解が進化する中、人間の知覚の変わりゆく性質を探求します。
私たちの場所や風景との想像的な関係へのホルツワース氏の探求は、私たちにこの地球を理解させてくれる新画像技術を通し、見せられないものを見せることに焦点を当ててきました。私たちの理解、肉眼を超える所にあるものへの彼の探求は、カメラを使っていながらそのレンズを超えた先へと行っています。
ホセ・パルラ
ブルックリン在住のアーティスト、ホセ・パルラ氏は、最初は1980年代に、さまざまな芸術形式、色、抽象的なカリグラフィーを試して、マイアミのアンダーグラウンドのアート・シーンに現れました。それ以降、写真のように写実的な絵の断片の中で、大都会の混沌と喧騒に新たなイメージを与える巨大な壁の規模の作品で、世界的に批評家たちからの称賛を浴びました。
ロールス・ロイスのアート・プログラムの一環で、パルラ氏は「Roots」と呼ばれる没入感あふれるインスタレーションのために、出身地マイアミ・ビーチに戻りました。ナショナル・ヤングアーツ・ファンデーションの一環として、ジュエル・ボックスに収められた彼の作品は、自身の家族史と建物そのものの両方に、過去と現在のつながりを探求しています。「私の旧友がかつてこう言いました。根っこ(ルーツ)がなければ木は育たない、と。このことが常に私の心に残っていて、長年の間、私の制作プロセスに存在し続けています」と、パルラ氏は説明しました。
ヤン・フードン
先駆的な中国人映像作家また写真家であるヤン・フードン氏は、伝統を敬いながらも現代技術を受け入れる作品で名を馳せています。グッドウッドのホーム・オブ・ロールス・ロイスへの訪問で、彼はロールス・ロイスを手作業で創る職人的な仕事を目の当たりにしてインスピレーションを得ました。
アート・プログラムのために、フードン氏は短編映画を製作中です。中国の神話、不屈の努力と意志の力の美徳に基づいたそのコンセプトは、長い間彼が温めていたもので、今それがついに現実となるところを見ることができるものです。彼の新作は2016年12月に上海で公開されます。
モハメッド・カゼム
ロールス・ロイス・モーター・カーズは最近、独創的なプロジェクトにおいてアラブ首長国連邦のアーティスト、モハメッド・カゼム氏に制作を依頼しました。作品の中で緯度と経度の座標を使うことへの関心で知られ、その彫刻もそれを地で行くものです。
カゼム氏はグッドウッドのホーム・オブ・ロールス・ロイスで時を過ごし、そこで職人たちと行動を共にしてインスピレーションを受けました。その閃きが非常に大きかったので、彼はそれを作品の中心に置くことに決めましたが、そのインスピレーションは双方向のものでした。彼の彫刻自体も並行して製作されたビスポーク車のインスピレーションになったのです。どちらも2016年年末に隣り合わせで発表されました。
スダーシャン・シェッティ
同世代の中でも最も著名なインド人アーティストの一人として世界で認められている、スダーシャン・シェッティ氏の謎めいた彫刻のインスタレーションは、世界中で広く展示されてきました。また、彼は最近、コーチ・ムジリス・ビエンナーレのアーティスティック・ダイレクターに任命されました。
シェッティ氏のロールス・ロイスのアート・プログラムへの作品は、インド民話を基にした2チャンネルの映像と彫刻という形の映像のインスタレーションです。作品は2016年11月にムンバイで彼の既存の「Flying Bus」プロジェクトに並べて発表され、その後ニューデリーに移動します。
アイザック・ジュリアン
アイザック・ジュリアン氏の「Stones Against Diamonds」は、ロールス・ロイスが制作依頼したビデオのインスタレーションです。アイスランドの人里離れた氷穴で撮影されたこの作品は、ブラジル人モダニズム建築家兼デザイナーのリナ・ボ・バルディが書いた手紙にインスピレーションを得ました。
その映像の中で、アーティストはバルディの半貴石への愛着を探求します。彼は、風景から風景への旅へ見る人を連れて行く魂の導き役として、性格女優、ヴァネッサ・マイリーが演じる、ロールス・ロイスのアイコン、スピリット・オブ・エクスタシー取り入れています。アイザック氏のインスタレーションは、ヴェニス・ビエンナーレで非公式にデビューし、2015年アート・ベーゼルで初めて公の場に姿を現しました。
アナ・マリア・タバレス
ブラジル人アーティスト、アナ・マリア・タバレス氏のロールス・ロイス・モーター・カーズから依頼の作品「Deviating Utopias」は、バーチャルな環境を創造するインスタレーションです。テクノロジーと職人技、工業材料とオーガニックな材料、スピードと沈黙の融合を描いています。
「ホーム・オブ・ロールス・ロイスを最近訪れた際、時間を止めるカプセルのような一方で、生産的な機能がある様子に強い印象を受けました」と、アナ・マリア・タバレス氏は言いました。「これらの要素は、ロールス・ロイスへの作品をバーチャルな没入感あふれる環境として提示するというひらめきを私に与えました。合理的でオーガニックな世界観の橋渡しをする夢の旅を創造するのです。」 この作品は2015年のベルリン・ギャラリー・ウィークエンドで展示されました。
モーガン・ウォング
モーガン・ウォン氏の野心的な作品「Untitled – Expressway」は、抽象的映像、アーカイブ素材、および架空の人物によるナレーションを組み合わせています。ウォン氏は、変容のプロセスとそれが起こる速度が人間性から外れる可能性があることを聴衆に思い出させることを目指しています。
映像は、香港の現在の中心部をこの街の有史以前の新市街へと結ぶルートを進みながら撮影されました。ロールス・ロイスの一台一台を飾るスピリット・オブ・エクスタシーが、この映像の主なインスピレーションとなりました。旅が進む間、この象徴的なエンブレムが香港の風景の変化を観察しているようです。
ビデオプロジェクションとして表示されるほか、ロールス・ロイスの後部コンパートメントの画面にもディスプレイされ、オーディエンスは親密に、かつ時間を超えてバーチャルな旅を体験することができました。映像は、ロールス・ロイス・モーター・カーズの香港ショールームでも上演されました。
マナル・アルドワヤン
マナル・アルドワヤン氏は、「I Had No Wings」を制作したサウジアラビアのアーティストです。映像を投影した4つの壁サイズのスクリーンとサウンドを組み合わせたこのビデオにより、観る人はその独特の感覚体験に没人しました。
アルドワヤン氏は作品について次のように説明しました。「このビデオの画像は、私がサウジアラビアの街の通りを運転し、車の後部座席から撮影されました。この作品は、人が現在と未来の間で浮遊する瞬間に捉えられた、物理的でこの世のものとは思えない状態を取り上げています。」
この作品は、アート・ドバイ2015で展示されました。アーティストがインスピレーションを得た車がこの展示場所にあり、観客は自分の創造的つながりについてじっくり考え、それを創り上げることができました。
カルロス・ロロン
カルロス・ロロン氏のネオンの彫刻、「Untitled (Opulence)」は、伝統的なロールス・ロイスのパンテオン・グリルとスピリット・オブ・エクスタシーにインスピレーションを受けています。3メートル X 3.5メートルの大きさのこのインスタレーションは、ムードや感じ方の変化と共に、動き、ライン、色の相互作用を探求しています。
ネオンと曼荼羅(円)のパターンの並べて使用することで、この作品はポスト・ミニマリズム、ポップ・アート、抽象芸術の言語を組み合わせています。瞑想的で癒し効果があるこの作品は、鑑賞者にトランス状態になるような効果を与えます。
「Untitled (Opulence)」は五感に訴え、未来に突き出していく一方、神話的な美、エネルギー、エクスタシーのストーリーを語ります。この彫刻は、2015年1月、アート・ステージ・シンガポールで発表されました。
アンジェラ・ブロック
「Cipher of L.」は、ロールス・ロイスが製作依頼をした作品で、ベルリン在住のアーティスト、アンジェラ・ブロック氏によるインスタレーションです。ブロック氏は、システム、パターン、ルール、そして数学と美学の間にあるクリエーティブな領域への関心で知られています。
「Cipher of L.」は、ロールス・ロイス PHANTOMのプロポーションを模倣する「ピクセル・ボックス」の形で、アート、テクノロジー、職人技の関係性を探求します。箱のパネルの色が変わると、ロールス・ロイスのショールームにある、それぞれが個々に製作を依頼された他の車全体に、色のついた光を放ちます。
この作品は2014年10月、バークレー・スクエアにあるロールス・ロイスのロンドン・ショールームで発表され、市内のフリーズ・アート・フェアと時を同じくして3週間にわたり展示されました。